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株式会社 小西鍍金はめっきを専門とする表面処理会社です。

硬質クロームめっきガイド

◆◆硬質クロームめっき解説◆◆
☆ 2 硬質クロームめっきの作業工程について
2-1 前処理
 硬質クロームの密着を良くするためには、めっき前処理工程が重要です。
 すなわち、素材表面の油脂、酸化物などを除去し、清浄な表面を出すことが必要です。
脱脂→水洗→酸活性→水洗→中和
 脱脂に関して、当社では早くから地球環境を考え、溶剤による脱脂を採用せず、アルカリによる脱脂を採用し、ノウハウを蓄積してきました。
2-2 めっき
 クロム酸を主とした浴に添加物を加え、めっきする品物を浴に漬け電流流してめっきします。
 その時、浴の成分(浴組成)を分析し、常に一定基準値内にあるように維持管理することが重要です。又、浴組成だけでなく、電流値、浴温度、めっき時間なども、重要な管理要素です。
クロームめっき浴の種類と組成
無水クロム酸 g/l 硫酸
g/l
ケイフッ化g/l 特殊添加剤ml/l
サージェント浴 200〜300 2〜3
フッ化浴 200〜300 0.5〜2.5 0.2〜10
高速メッキ浴 250〜350 3〜4 100〜130
析出速度 標準 3分1μm
一般的なめっき槽の構造
上図以外に加熱装置・排気装置・直流電源
温度センサー・液面センサーなどが必要です。
緑色:被めっき物  ピンク:アノード
電流値の決定方法
 ・電流値を決める場合、被めっき物(以降ワークと記します)の要求される能と形状によって電流密度を決めます。
 電流密度が決まれば、後はワークの表面積をかければ電流値が決まります。
 電流密度とは、単位面積あたりに流す電流値のことで、単位面積は、du(デシ平方メートル)を使います。
      1du=10cmx10cm
  硬質クロームめっきの場合 25A/du から 50A/du の範囲で選択します。
 高速めっき浴の場合は80A/du位まで上げることができます。
 ・電流密度を上げると析出速度が速くなりますが、次項で述べる析出形状に悪影響を与えます。
 また、析出組織も粗くなって全体につやのない表面になります。
 高速めっき浴の場合はこれを防高電流密度でも正常な組織を持っためっきが出来るため、めっき時間が早くなるわけです。
 ・逆に電流密度が低すぎても、全体に白っぽくつやのない表面になります。
 また硬度が下がって耐磨耗性が悪くなります。(硬度は、電流密度・浴温度・浴組成の影響を受けます)
 ・当社では積算電流計を用いて、流した電流値の合計と析出膜厚の関係を実験したことがありますが、正比例の関係になりました。