株式会社 小西鍍金はめっきを専門とする表面処理会社です。

各特性の概要と用途例

▼ 各特性の概要と用途例 ▼
代表的な特性
特　性 概　　要 用　途　例
装飾 光沢度 　鏡面光沢・全光沢・光沢梨地調・無光沢梨地調と区分される。色調や模様との組み合わせで、表面の多様化・高級化などが実現される。 (音響)ツマミ・スイッチ
(自動車)バンパー・ラジエターグリル・ホイール・サイドミラー
(精密機器)カメラ・時計
水洗器具、照明器具、眼鏡フレーム、装身具、喫煙具
インテリア、エクステリア、暖房器具、ハウスウェアなど。
色調 　クロム色系・ニッケル色系・白色系・黒色系・金色系・銀白色系・古美(ブロンズ)系の他、各種カラーがある。
模様 　梨地・スピン・ヘアライン・パール・ダイヤカット・ツートン・エンボスなどがあり、素材加工で付与するものと、メッキ面の研摩で付与するものとがある。高級なデザインには不可欠の役割を果たしている。
防錆 　湿気・硫化雰囲気・酸化雰囲気・塩分などに対する防錆・防食・耐食の性質。 ほとんどの金属製品・ボルト・ナット・建築金具など。
耐摩耗性 　摩耗しにくい特性のことで、高硬度による耐摩耗性、低摩擦係数による耐摩耗性などがある。 各種シリンダ・ロール・シャフト・ロッドなど。
機械的特性
特　性 概　　要 用　途　例
硬度 　メッキ金属は一般に冶金学的に得られたものより硬度が高く、クロムやロジウムメッキはヤスリより硬くなる。硬度の高いものは耐摩耗性に優れているだけでなく、耐擦傷性すなわち傷がつきにくいという特性もある。 各種シリンダ・ロール・シャフト・ゲージ・金型・ライナー・高級装飾品など。
潤滑性 　滑りやすさのこと。低摩擦係数によるもの・保油性によるもの・なじみ性によるものなどがある。 各種シリンダ・ピストンリング・シャフト・ロッド・軸・軸受など。
寸法精度 　精密機械部品や電子部品に必ず要求される特性。厚さ10μm±1μmや、±10%などの表示がなされる。平面度で表示される部品もある。 精密機械部品・光学部品・精密金型・ベアリング・シャフトなど。
肉盛り性 　寸法補正を目的とし、さらに耐摩耗性・耐食性・切削加工性などが同時に要求されることが多い。 各種ロール・シリンダ・軸・軸受・金型など。
型離れ性 　金型に要求される特性。非粘着性とも深い関連性がある。 各種金型。
低摩擦係数 　すべり性とも称し、耐摩耗性や潤滑性と密接な関係にある。 各種ロール・ガイド・糸送りローラー。
その他 　後加工性や耐衝撃性・耐疲労性などがある。 プレス成形品・機械部品。
電気的特性
特　性 概　　要 用　途　例
電気伝導性 　電気の伝わりやすさのこと。銀が最も優れ、次いで銅・金となる。 電子部品・半導体部品。
高周波特性 　導波性とも称される。高周波電流(ミリ波・マイクロ波など)の伝わりやすさ、伝送損失の少ないことが要求される。 導波管。
磁性 　磁気記録媒体に要求される特性。静特性(保磁力・角形比)と動特性(メモリ特性)を総称するが、使用目的によって特性が異なる。 磁気ディスク・磁気テープ・ワイヤメモリ。
低接触性 　電気接触部での電気抵抗の小さい特性。同時に高硬度・耐摩耗性を含めてスイッチ特性と称することもある。特にロータリースイッチやコネクタなどの摺動接点では耐摩耗性が必要。 各種スイッチ・コネクタなど。
抵抗特性 　電気抵抗隊として必要な特性。特殊な無電解ニッケルメッキは、膜厚によって抵抗値を設定できる。 金属薄膜抵抗体。
電磁波
シールド特性		 　電磁波ノイズの発生を防止し、あわせて外部からのノイズを吸収する特性。 パソコン・携帯電話・ビデオカメラなど。
光的特性
特　性 概　　要 用　途　例
反射防止性 　防眩性とも称される。光の反射・まぶしさを防ぐ特性のこと。黒色化や梨地化が多く用いられる。 自動車部品・オートバイ部品・カメラなどの光学機器内・外装品。
光選択吸収性 　0.3〜2.5μmの波長領域の太陽光を吸収する特性のこと。吸収率αで示され、1.0に近いほど吸収性が高い。同時に赤外線の放射率(ε)の少ないことが要求される。 ソーラーシステム選択吸収パネル。
光反射性 　光を効率よく反射する特性。金または白色金属光沢で、平滑度の高いほど反射率が大である。 ミラー・反射板・光学反射鏡。
耐候性 　紫外線劣化を引き起こしやすいプラスチックやゴム・塗膜などを、紫外線から保護する特性。 各種プラスチックメッキ。
熱的特性
特　性 概　　要 用　途　例
耐熱性 　高温下で皮膜物性(硬度・耐摩耗性・耐食性など)が低下しない特性。 エンジン部品。
熱吸収性 　熱を効率よく吸収する特性のことで、光吸収性と同様に黒色皮膜が活用される。 集熱板・放熱パネル(シールドケース)
熱伝導性 　熱を伝えやすい特性のことで銀が最も優れており、次いで銅・金となる。 厨房器具(鍋・フライパンなど)
熱反射性 　光反射性と同義で、平滑度が高いほど反射特性に優れている。 ストーブ反射板など。
物理的特性
特　性 概　　要 用　途　例
ハンダ付け性 　ハンダ付けのしやすい特性で、ハンダぬれ性と称されることもある。電気・電子・機械など広範囲な分野で要求される大切な特性である。 多くの電気・電子・機械部品。
ボンディング性 　半導体部品の製造工程で要求される特性。金線やアルミ線と、熱圧着や超音波圧着で接合しやすい特性のこと。溶接性なども似たような特性と言える。 半導体素子。
多孔性 　表面に多数の微小孔(ポーラス)を有する特性のこと。保油性と同義である。 各種ロール・シリンダ・ピストンリングなど。
非粘着性 　型離れ性と同義で使われることも多い。すべり性や低摩擦係数と密接に関係する。 各種金型。
接着性 　金属と高分子の界面接着力を向上させる特性。ラジアルタイヤの中に真鍮メッキした鋼線を編み込む例がよく知られている。 ラジアルタイヤ・金属上に高分子を塗布またはライニングした製品。
化学的特性
特　性 概　　要 用　途　例
耐薬品性 　化学薬品や有機酸などに対する耐食性のこと。 化学工業機器・熱交換機・バルブ。
汚染防止 　化学機器ではスケールなどのつきにくさのこと。日用品・家電では汚れにくさ・清潔さのこと。 医療機器・冷蔵庫取っ手・洋食器。
抗菌性 　細菌の繁殖を抑制し、殺す特性のこと。銅・銀・コバルトが優れている。 家具金物・取っ手・洋食器。
耐刷力 　インクや染料を保持する性質が大きく、腐食されにくく、インクのかきとりが容易で、しかも均一性・耐刷力に優れていること。 印刷用ロール・染色ロールなど。
その他
特　性 概　　要 用　途　例
難燃性 　プラスチックを金属被覆して熱に対する弱さを補うこと。 各種プラスチックメッキ。
海水腐食防止 　海水中での防食・耐食性のこと。防食用には一般にカドミウムメッキが優れている。海底中継器では厚付け金メッキや白金メッキ電極棒が使われている。 船舶・建設機械・土木機械・海底中継器。
写実・再現性 　複写特性とでも言えるもので、レコードスタンパーや複製工芸品などの製作に不可欠である。 レコードスタンパー・精密電鋳金型・導波管。